徒然なるままに

くだらない日常を綴っております。

破天荒な看護師に出会った日々

2年前のとある日、夫が入院した。

 

その時期は販売から事務職へ契約社員として転職したばかり。

ロクにPCも使えず、当時の上司に冷ややかな目で見られて

「こんなんじゃお話になりませんから・・・。」

と言われ、パソコン教室にも通い始めた矢先だった。

 

事の発端は1週間ほど前。

夫が、

「おへそから膿がでる・・・」

 

と訴えてきた。

それだけではなく、お腹も何だか張ってるとも言っていた。

 

私はその時、

「臍炎(おへその炎症)にでもなったんじゃないの?」

と、軽く受け流した。

 

悲痛な表情で何かぶつぶつ言っていたがあまり深く取り合おうとしなかった。(鬼畜)

2日程して、夫は出張へと旅立っていった。

 

帰宅すると、

「膿の量が増えていて、着ているシャツに染みる程になっている、それだけではなく明らかにお腹が膨れてきてベルトが閉まらない」

と伝えてきた。

流石に、ちょっと心配になり、病院へ行くよう促してみた。

 

かかりつけの病院で診察してもらうと、

医師は

「うぇ、これはここでは診れないから総合病院へ紹介状を書くよ」

と言われたそうだ。

ちなみに、このかかりつけ医は普通に診察していて

゛うぇ”とか、゛げぇ”とか発する。

地味にイラつく。

 

後日、病院で診察を受けると病名は

「尿膜管遺残症」

 

なんと、あのフィギュアスケートで活躍する、羽生結弦選手も罹った病気だそうだ。

 

夫の症状をものすごく簡単に説明すると、

胎児のときに、母体へと繋がってるおへそと膀胱をつないでいる尿膜管という器官が、本来は閉じるものが閉じておらずそこに細菌感染を起こしている状態だそうだ。

放っておくと、悪性腫瘍へと繋がる可能性もあり、手術で摘出する運びとなった。

 

事の次第を聞き、手術までしなければならないという状態に今度は私が逆に心配になってしまった。

打って変わって夫は症状がはっきりし、うきうきと入院準備をしていた。

(入院中にゆっくりできるから、見るといってアマプラも登録していた。ポジティブモンスターめ。)

入院前のとある日、必要書類に署名捺印等しなければならなく、

入院中お世話になる看護師さんに挨拶する機会があった。

その方は珍しく男性看護師だった。(以下Dさん)

しばらく行けないからと前日、マッサージまで行き、(医者に確認済)晴天のある日、手術と相成った。

 

当日は私も休みをもらい、病院にて待機することにした。

 

夫は手術の直前まで能天気で明るく、手術室へと消えていった。

その後、あんな事になるとは知らずに・・・。

 

手術室へ消えた直後、Dさんに、

「奥さんはここで待っていてもなんにもならないので、どこかで時間でも潰してください。手術は14時ごろ終わりますので。」

と結構ドライな言い方をされた。

 

まぁ、携帯の番号も伝えていることだし、手術前の診察でも簡単なものだと聞いたし、

外のファミレスでも行くか・・・とそのまま病院を後にした。

約束の時間が近づいて病院へ戻ると、Dさんは

「ああ!奥さん、どこに行っていたんですか!?探してたんですよ!」

とちょっとキレ気味で、

「旦那様、手術がとっくに終わってます!」と続けた。

 

私は脳内で、

「お前が病院で待ってると邪魔的なニュアンスで言ってきたから、時間潰してたんだろ!言われた時間より早く戻ってきたわ!」

とすみません、と謝りながら脳内でブチ切れていた。

 

全身麻酔での手術だったので、麻酔から回復するまで夫は個室で休んでいた。

手術直前の能天気な様子より、当たり前だが、がらりとかわり夫は弱々しくベッドに横たわっていた。

足には血栓防止の機械をしており、点滴もされていて、その姿はかなりショックだった。

手を差し出してきたので、握ると氷の様に冷たく、普段の明るいポジティブモンスターからのギャップに再び、ショックを受けた。

 

暫くすると、Dさんがやってきて、

「麻酔もだいぶ切れたので立ってみましょうか。」

と傷を痛がる夫に宣告してきた。

 

私はこんな手術直後で立ってもいいのか疑問だったが、

プロの看護師の意見だったのでじっと見守った。

 

そして、夫はうめき声をあげながらなぜか、その場で立たされて、再びベットへ戻された。

※のちにこんな状況でなければぶっ飛ばしてやるところだったと言っていた。

そろそろ大部屋に移れますね、と移動し、

夫を見守っていると、別の女性看護師(以下Jさん)が様子を見にやってきた。

Jさんは夫を見るなり、

「あら、なんでまだ術後に敷くシート(多分血とかを吸収するやつ。ペットシートみたいな素材だった。多分。)があるのかしら・・。」

とつぶやき、シートどかし、

「汗も沢山かいてますね、包帯とか換えますね。」

と仰った。

私の目にはJさんがエンジェルに見えた。

だがしかし、夫の包帯を換えるときにエンジェルJさんの表情はみるみる般若のごとく豹変した。

「・・・あら、傷が開いている・・・。」と言い、

「なにかありましたか!?無理やり動いたとか!?」と詰問され

私は、

「さっきDさんに手術直後だったのに立たされました!」とあっさりチクった。

Jさんはこの世の終わりの様に

「嘘・・・手術直後に!?」

と絶句し、憤慨していた。

 

その後、ナースステーションに何かを確認しに行き、病室に戻ってくると、夫に事の顛末を詫びた。

ちなみにDさんは、それを境に2度と夫の前に姿を現さなかった・・・。

 

余談だが、男性はどんな女性でも胸元がチラリズムするとつい見てしまう傾向にあるが、

女性もまた然りと思った出来事があった。

Dさん以降は通称アジャ氏(可憐な女性だったがパワーがアジャコング並みにあったので・・・。スミマセン)と、名付けた女性看護師が夫の担当になった。

手術直後は下着は履いていなかった夫が、着圧靴下をアジャ氏に直される際、

浴衣がはだけ、陰部がポロリした。

私は脳内で

「あ、ポロリ」と思い、アジャ氏を見るとポロリ部分をガン見していた。

なにかしみじみとなった。

実にくだらない余談だ。

 

それ以降は、平和な入院生活だった様だ。

野生爆弾のコントを見て笑いすぎて傷が開きかけたり、

アジャ氏にお尻をガシガシと拭かれたり、

病室の人と仲良くなったり、

担当医に影で「ポコちゃん」とあだ名で呼ばれているのが発覚したり、

なかなか充実(?)した生活を送り無事退院に至った。

 

夫も大変だったがお見舞いに通う私も結構大変だったのはここだけの話だ。

 

なお、ここまで書いておいて何ですが、夫が入院中お世話になったの看護師さんはアジャ氏を始め、本当に嫌な顔一つせず看護してくださり、

素晴らしい方たちばかりでした。

ありがとうございました。(Dさん除く)